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Archive for 6月, 2020

診療担当表 2020年7月分

Posted by on 木曜日, 11 6月, 2020

6月より もの忘れ外来を始めました!/水曜日午後

Posted by on 木曜日, 4 6月, 2020

もの忘れ外来について

我が国は高齢化が進み、65歳以上の高齢者数が大変な勢いで増加しています。それに伴い、認知症と診断され方々も大変多くなっています。
厚生労働省の報告では、65歳の4人に1人が認知症(または軽度認知障害【MCI】)と診断が可能といわれています。それを踏まえますと、認知症は早期診断がとても重要となります。なぜなら、お薬によって進行を遅らせる可能性があり、健康に過ごせる時間を長くすることができますし、鑑別診断を行うことによって、認知症と同じような症状がある他の疾患と判明した場合(甲状腺機能障害、ビタミン欠乏症、脳腫瘍、うつ病、ほか)治療できる可能性があるからです。
そこで、当院では、専門外来としての「もの忘れ外来」を行っています。
未診断の方も他の医療機関で診断済の方も遠慮なくご相談ください。

 

診療医について

日本精神神経学会の専門医、認知症診療医 が担当します。

 

もの忘れ外来における診断と治療の流れ

① 問診による病歴聴取
主にこれまでの経過をお伺いします。一般に、日常生活に支障を来すような段階に至るまで年単位の経過であることが多いため、過去に遡って経過を聴取します。ご家族またはご本人の事を良く知っていらっしゃる方からお話を伺います。

この段階で認知症に類似した症状がある精神疾患(うつ病、アルコール依存症、せん妄など)を除外します。

② 認知機能スクリーニング検査
長谷川式簡易知能検査(HDS-R)、または、MMSEによる検査を施行します。両者共に、簡単な質問にお答え頂き結果を点数化します。いずれも30点満点です。定型的検査に加えて、補助的な質問(簡単な指示、ことわざの意味、作画など)も適宜加えてアレンジしています。
点数の高低だけでなく、答え方や、検査に対する協力姿勢の有無、どの項目の質問がうまく答えられないのかをみています。

③ 血液検査
必要であれば、甲状腺疾患、肝障害、腎障害、梅毒などの感染症、ビタミン欠乏症、など、認知症と類似の症状が出現する疾患がないか確認します。
必要に応じて薬物治療を開始
ここまでは当院で行います
以下は協力医療機関で行います

④ 画像検査(形態画像検査)
頭部のCTスキャン MRIなどを施行します。主な目的は以下の通りです。

  • 脳萎縮(縮み具合)の程度を観察すること
  • 脳萎縮の部位を把握・特定すること
  • 脳出血、硬膜下血腫、脳梗塞などの確認
  • 脳腫瘍など占拠性病変の確認
  • 正常圧水頭症の有無を確認

⑤必要に応じて薬物治療を開始または、経過観察

 

認知症とは

いろいろな理由で脳の細胞などが障害を受け、記憶力や理解力、判断力などをはじめとする脳全体の働きが低下することによって、家庭生活や社会生活に支障をきたした状態のことです。

 

認知症の種類

全体の半分以上がアルツハイマー型認知症です。次いで、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、その他の認知症、と続きます。

 

主な症状

大きく、中核症状と周辺症状の2つに分類することができます。

中核症状

  • すぐ前の事をすっかり忘れてしまう
  • 同じ事を何度も繰り返して言う
  • 置いた物の場所がわからなくなり、いつも探している
  • 日付や時間について正確に言えない
  • 季節に合わない服装をしてしまう
  • 薬や金銭の管理が上手くできなくなった
  • 火にかけた鍋をよく焦がしてしまう
  • 普段使用しているもの
    (洗濯機、TVのリモコンなど)が使えない
  • 同じものばかり購入してしまう
  • 外出先で自分がどこにいるのかわからなくなる
    など

 

周辺症状

  • 全体的に活気がなく、意欲が低下している
  • 些細な事でイライラしたり、怒りっぽい
  • 介護(入浴、更衣など)を嫌がり、抵抗する
  • 大きな声や奇声をはっしたり、暴力をふるう
  • 「物を盗まれた」と周囲の人間を疑う
  • いないはずの人が見えたり、声が聞こえたりする
  • 食物以外の物を口に運んでしまう
  • 徘徊(無目的に歩き回り、動き回る)がある
  • 昼夜が逆転して、夜間眠らず過ごしてしまう
    など

 

症状に対する治療

中核症状に対する薬物治療

認知症の進行を抑えることを目的として使用します。認知症が完治する訳ではありませんのでご注意下さい。2014年現在で、我が国には4種類の抗認知症薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン)があります。治療薬の効果は図1の様なものと考えられます。

( 図1 )

抗認知症薬は少量から副作用に注意・観察しながら段階的に増量していきます。1ヶ月〜半年程度かかります。ただ、必ずしも最大量まで増量するとは限りません。また、認知症の進行の程度によって使用する薬剤が異なります。

周辺症状に対する治療

上手く薬剤選択すれば、穏やかで心配の少ない暮らしができるようになります。症状の種類によって使用する薬剤は異なります。不眠ならば睡眠薬、興奮が強い場合は安定剤、意欲低下が顕著であれば抗うつ薬などを使用します。
その他、漢方薬、抗てんかん薬、抗精神病薬などが適宜使用されます。 ただし、認知症は高齢者が多いため、肝臓の機能が低下しており、他の薬(高血圧の薬、骨粗鬆症の薬、コレステロールの薬など)を服用していることも多いので、できる限り体に負担の少ない薬を選択し、少量の使用にとどめるように工夫をしていきます。

 

その他の心理社会的治療

当院の高齢者デイケアや物忘れデイケアでの、日中の居場所を確保しながら、情緒の安定、行動の調整、睡眠の改善などを目指します。

 

外来診療からデイケア利用へ

当院では、認知症の治療の場として薬物治療以外にデイケアでの治療を展開しています。デイケアでは、生活リハビリテーション、回想法、音楽療法、リアリティ・オリエンテーション、脳トレ、などの活動を通じ、人と触れ合いながら笑顔になっていただくことで、その方の脳を刺激し、認知症の進行を予防していくことを目的にしています。

 

★物忘れデイケア(なぎ)

認知症の進んだ方が、日中安心して穏やかに過ごせる場を提供するとともに、症状の改善・維持を目的に認知症専門スタッフによる治療的な取り組みや家族支援を行っています。認知症の進行により、日常生活に支障をきたす行動障害などの緩和と認知症進行の遅延を目指し、作業療法士等が中心となり医師の診察に基づいてお一人おひとりの状態に応じたプログラムを作成し実施します。また、医師による診察やお薬の処方が可能で、在宅生活を継続していくために必要な認知症に伴う症状のサポートを継続して行う認知症専門の医療保険のデイケアです。

 

★高齢者デイケア

生活が不活性でうつになりそうな方や認知症のある高齢の方が、心身共に健やかな在宅生活を送ることを目指す場を提供しています。不安の緩和や閉じこもりを防止し、生活リズムを整えることは重要で、体力の回復や精神の安定につながります。作業療法士、看護師、心理士等の専門職が関わることで、症状の変化にも気づくことができ、相談や治療につなげるメリットもあります。作業療法や小集団プログラム等の提供のほか、生活リハビリテーションや服薬管理の練習も行っており、在宅生活や自立的な生活を継続していくために必要なサポートを行う医療保険のデイケアです。